« 長宗我部元親[ちょうそかべもとちか] | ブログトップ | 最後の武田武士、武田四郎勝頼、仁科五郎盛信 »

[] 

戦国時代・歴史ブログならココで探そう






※注意。今回の記事は秀吉の兵糧攻めですが、悲惨な表現があります。

以前、鳥取の渇え殺しとも言われた秀吉の因幡・鳥取城の兵糧攻め[天正9年 1581年 7月~]の事について書いたが、わずかながら信長公記にもその様子が書かれている。

とりわけ城内の悲惨さが目を惹く。

一群の男女がことごとく城内に逃げ込んだ[秀吉の兵が農民などに、いやがらせや乱暴を働いたりした]ので、下々の農民やその他の長期戦への備えが無かった者たちはたちまちに餓死してしまった。つまり、城内では身分の低い者たちは真っ先に死んで行ったと言う事になる。食べ物が均等に分けられ、行き渡ったと言うことでは無いらしい。
現に城主 吉川経家[きっかわつねいえ]やそれに準ずる者たちは切腹する最後まで生き残っているので、限られた兵糧の厳格な管理上、それは当然の事であった。

そもそも同じ城内とは言え、身分の高い連中は城の建物の内部におって、身分の低い者達は敷地内の庭などにおり両者たちは隔離されていたはずである。倉や城の建物内に備蓄されている食べ物は番兵などによりきっちりとガードされ身分の低い者達には分け与えられなかった。

始めのうちは三日に一度、または五日に一度、鐘の音を合図に、雑兵が全員で城の柵まで出てきて木の葉や草を採っていたという。当然、城の外と接する部分は、外を囲んでいる敵兵に鉄砲や矢で射られる可能性があるので危険地帯なのである。また城を囲んでいる敵にしても、多数の雑兵が急に押し出してきたら怯むので、その隙に城内では草取りが行われていたということになる。

今度、自宅の草取りをする時には命がけで草を採った因幡・鳥取城の人たちの事を思い起こしてみると良い。

草や木の葉より稲の切り株が食い物としては上々だったらしいが、何れにせよ常時では人間の食い物ではない。
それらも次第に採り尽くし、今度は鶏、牛馬を殺して喰らい始めた。
現代の感覚では動物の肉を先に喰らうだろうと考えがちだが、当時は肉食の習慣は無かったらしい。
故に草木などを食い尽くした後に、仕方なく家畜や馬となったのだろう。

そして牛馬を食い尽くすと、さらに状況は最悪になり、終には人間の肉をも食い始めた。
餓鬼[がき]のように痩せ衰えた男女が柵際まで寄ってきて、苦しみ喘ぎつつ「引き出して、助けてくれ」と悲しく泣き叫んだ。
これらの者を鉄砲で撃ち倒すと、まだその者に息があるにも拘らず、飢えた人が群がり手に手に持った刃物で手足をばらし、肉を剥がした。五体の中でも特に頭部は味が良いと見えて、一つの首を数人で奪い合って、取った者は首を抱えて逃げていった。[信長公記]

極限飢餓状態とはこういうものなのか・・・
はたまた、こういう事は行われなかったが、何らかの情報操作のために意図的に記述されている可能性も無きにしも非ず。
例えば、共食いをするほどの人たちなのだからと、篭城兵のレベルを下げ、僅かでも侵略や兵糧攻めの正当性を上げるなど。当然、信長公記は信長・秀吉サイドに有利な事が書かれていると思うのだ。

太平洋戦争時の南方戦線では飢餓状態に陥った日本兵達が、仲間や敵兵の人肉を食ったのは事実らしいが、何れにせよ、飽食で平和ボケしている現代人の我々の想像を遥かに絶する世界である。

この秀吉による因幡鳥取城の兵糧攻めは臨時城主の吉川経家[きっかわつねいえ]らが切腹して、開城となり、篭城していた者達は助け出された。

最後に、こう書かれている。

篭城した者達は、餓鬼[がき]の様に痩せ衰えていたので、食い物を与えたら、皆一様に食い過ぎ、大半の者達は頓死[とんし]してしまった。

折角、地獄の苦しみを耐え抜き助け出されたのに、なんとも哀れなことである。

1/3  2/3  3/3
⇒参考 : 戦国時代の本 ⇒戦国時代掲示板

トラックバック

この記事のトラックバックURL:

コメントを投稿

(ブログかんりにんの承認が必要です。承認されるまではコメントは表示されません。)

逆アクセスランキング

スポンサードリンク

カテゴリー

人気記事ランキング

ブックマーク

ブックマーク キタ━━(゚∀゚)━━ッ!!

かんりにん一言

日本の歴史至上で最も熱かった時代、それは戦国時代。 でも、こんな時代が本当にあったのだろうか? これだけの資料があるのだから、戦国時代ってのは本当にあったんだろうなぁ。 未だに半信半疑な気分でのめり込んでいます。

ただ今、相互リンク募集中です。通常相互リンクか戦国時代ランキングにご参加下さい。ただし戦国時代関連のサイトに限らせていただいております。 各記事にリンクする場合は、記事タイトル脇にリンクタグが表示されていますので、それをご利用下さい。リンクしていただくと逆アクセスランキングに自動で参加します。
ブログのフィード : XML | Atom
Copyright © 戦国時代ネット ブログパーツ